やる気を起こさせるのに「アメ」と「ムチ」は必要か? パート2(全2回)
前回、「アメ」「ムチ」は『外発的動機付け』という同じカテゴリーに分類されるということ。
そして、『外発的動機付け』と『内発的動機付け』というのがあり、それぞれの特徴を説明してきました。
今回は、『内発的動機付け』から『外発的動機付け』、『外発的動機付け』から『内発的動機付け』に変える方法を説明していきます。
そして、「アメ」と「ムチ」は必要なのかを考えてみたいと思います。
5、内発的動機付けを外発的動機付けに変える方法
自発的(内発的動機付け)に行動している対象者(選手、生徒、子供など)に、アメ(報酬)やムチ(罰)をあたえると外発的動機付けに変わってしまいます。
例えば、自発的に宿題をやっている子供に、「偉かったね~!頑張ったから、お小遣いをあげよう。」などと言ってアメ(小遣い)を渡してしまうと、『宿題をやれば、お小遣いがもらえるんだ!』と学習してしまい、そのうち『お小遣いが欲しいから宿題をやる。』という外発的動機付けに変わってしまい、お小遣いを貰えないと宿題をやらなくなってしまいます。
自発的にやっていることは、基本的に褒めなくても大丈夫ですし、褒めるとしても最小限でOKです。
まして、報酬をあげる必要はありません。
ついつい褒めたくなってしまうと思いますが、逆効果になることがあるので気を付けましょう。
6、外発的動機付けを内発的動機付けに変える方法
これについては、最近、変えることが可能であると分かってきたようです。
外的動機付けで始めた行動も、自分自身で「考え」⇒「計画」⇒「行動」⇒「評価」していくことで、内発的動機付けに変わっていきます。
例えば、最初は宿題をやるときに「やりなさい!」と言われてやるとします(外発的動機付け)。
そのときに、「いつ」「どこで」「誰と」「どのように」やるのかなどを、本人に決めさせます。
更に、「もっと効率的にやるには?」「もっと楽しくやるには?」なども、少しずつ考えさせていきます。
すると、宿題を何度かやっているうちに「〇〇時にやると、効率的に出来る。」「リビングでやると、集中出来る。」「お父さんとやると、楽しい。」など、自分で決めた行動に結果が出て、それを自分で評価するようになります。
これを繰り返し行うことで、少しずつ誰かに言われなくても自分だけで宿題をやり始めるようになっていきます(内発的動機付け)。
この様に、自分自身で考え、行動し、評価していくことで、指導者主導で行っていたことを、本人主導(選手、生徒、子供など)に変えることが出来、外発的動機付けから内発的動機付けに変えることが出来ます。
これは簡単では無いと思います。
なにせ、最近まで外発的動機付けから内発的動機付けに変えることは出来ないと思われていたぐらいですから…(^-^;
しかし、指導者が急がず焦らず、主導権を本人に持たせていけば、必ず自発的(内発的動機付け)に行動し始めます。
7、まとめ
「アメ」と「ムチ」は『外発的動機付け』なので、やる気を起こさせるためには刺激の強度を上げていかなければいけません。
これでは、指導者(コーチ、先生、親など)も対象者(選手、生徒、子供など)も辛い状況になってしまい、「無気力」や「体罰」を引き起す原因になりかねません。
そのため、指導者が対象者にやる気を起こさせためには『内発的動機付け』を起こさせなければいけないのです。
これは、とても大変で時間がかかることですが、『内発的動機付け』で対象者が行動を起こせば、指導者はほとんど何もしなくて良くなります。
ある意味、指導者がやる仕事は、これだけでも良いのかもしれません。
指導者が対象者に、やりたくないことでもやる気を起こさせるために、最初は「アメ」と「ムチ」が必要かもしれませんが、そのリスクをしっかりと考慮し『内発的動機付け』を起こさせるために、指導者は直ぐに行動を起こすことが大切です。
指導者がこのことを理解し行動することで「無気力な子供」や「体罰問題」は起こらなくなるかもしれません(^^)v
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